2026年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 石井 雅博 (札幌市立大)
ここ数年の深層学習,大規模言語モデル,深層生成モデルなどの急速な発展と普及には目を見張るものがあります.深層学習および各種モデルは計算処理やデータ解析の自動化だけでなく,言語,画像,音声,さらには人間の「知の創造」の領域までを取り込んで大きく発展しつつあります.その影響は情報通信の分野だけでなく,政治,行政,経済,社会,教育,研究等,ほとんどあらゆる分野に及んでいます.深層学習および各種モデルは,人と人・人とシステムの間のやり取りの支援・拡張にも活用されています.単なる自動化ではなく,理解(*),反応,提案,自律,生成,個別最適化などの特徴があり,従来のシステムでは成し得なかった,より柔軟で文脈に応じた情報通信が実現するでしょう.技術開発も一層進展し,一人ひとりの生活に無くてはならない存在,あるいはインフラとなっていくと思われます.
そこで今,改めて最重要な課題となるのが,「人に寄り添い,信頼して協働できるシステム」の開発ではないでしょうか.少子高齢化と労働力不足が深刻化する現代では,情報通信技術は子供の学習支援からお年寄りの生活サポートにいたるまで,誰もが気軽に,かつ安心して使えるものでなければなりませんし,働く人々を支え,ビジネス成果に寄与する存在となる必要があります.一人ひとりが実り豊かな情報社会を享受できるようにするためにはヒューマンコミュ ニケーション研究が重要です.
ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)は,現在,ヒューマンコミュニケーション基礎研究会,ヒューマン情報処理研究会,メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会,福祉情報工学研究会,情報の認知と行動研究 会,コミック工学研究会,ヴァーバル・ノンヴァーバル・コミュニケーション研究会,リアルタイムコミュニケーション言語研究会で構成されています.そ れぞれが定期的に研究会を開催し,人に関連する研究を,工学のみならず,心理学,社会学,言語学,医学,教育学,デザインなど様々な観点から展開して います.多様な学術分野が交錯するHCGにおいては,相互理解を深めることが重要です.そこで,年に1度関連する研究者が一堂に会するHCGシンポジウムを開催し,分野の異なる研究者の交流を行なっています.HCGは独自の論文誌を発行 しておりませんが,年に1度は和文誌・英文誌で論文特集を発行しています.このような活動を通してヒューマンコミュニケーション技術の発展を目指しています.今後もHCGの活動を盛り上げていきたいと思いますので,皆様もご協力のほどよろしくお願いいたします.
今後ますます重要になる情報通信の研究・開発分野において持続的に質の高い人材を輩出するためには,幅広い分野で高度研究人材層の育成強化が重要です.HCGは電子情報通信学会とともに情報通信分野における高度研究人材層の育成にも寄与していきたいと思います.
HCGの活動に関してご提案をお持ちでしたら是非とも委員長にお聞かせください.(*理解しているわけではありませんが,理解しているように感じられるケース が少なくありません.)
