委員長のご挨拶

2025年度ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長 蔵田 武志(産業技術総合研究所)

 

2025年度のHCG運営委員長を務めます、産業技術総合研究所 人間社会拡張研究部門 研究部門長の蔵田武志です。これまで、コンピュータビジョンを皮切りに、屋内測位、XR、協調作業支援、インターバース、サービス工学、人的資本経営支援、視覚障害者支援など、少なからずHCGのスコープに含まれる研究に従事してきました。こうした経験を通じて、現在は、人と社会が共に高め合う「人間社会拡張」の研究とその促進に力を注しているところです。

 

近年、私たちのコミュニケーションを取り巻く環境は大きく変化しています。生成AIやXR技術の進展は、私たちの暮らしや働き方に新しい可能性をもたらす一方で、情報過多、多様性の受容と分断、効率性と利他性のバランスなど、様々な課題も浮かび上がらせています。こうした状況では、「個々人の能力を拡張する」アプローチに加え、コミュニティや社会全体の仕組みや協働のあり方を見直し、支援していく「人間社会拡張的なアプローチ」がますます重要になってきます。その具体的な方向性としては、多様な立場の人々が理解を深め合い合意を形成するための仕組みの設計や、人の行動変容を促すための動機づけ支援などが挙げられます。HCGが扱うヒューマンコミュニケーションの領域においても、こうした視点は今後ますます重要になるでしょう。

 

平成7年度に設立され、今年で31年目を迎えるHCGは、異なる立場や専門性を持つ人々が交流し、新しい発想や協働を生み出す学際的な場です。ヒューマンコミュニケーション基礎 (HCS)、ヒューマン情報処理研究会 (HIP)、メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会 (MVE)、福祉情報工学研究会 (WIT)などの各研究会や、12月に開催されるHCGシンポジウム(今年度は北九州で開催予定です)、ニュースレターといった活動を通じて、多様な背景を持つ研究者・実務者・学生が交流し、新しい発想を生み出すことを期待しています。

 

技術・方法論・デザインがもたらす可能性と、それが社会に及ぼす影響について共に考え、次世代に向けたビジョンを描く場として、ぜひHCGをご活用いただければ幸いです。あわせて、身近にHCGに関心を持っていただけそうな方々にお声がけいただき、参加の輪を広げていただくことで、HCGはより魅力的で価値あるコミュニティになっていくと考えています。HCGの活動とその成果が、人と社会が共に高め合う未来を切り開く一助となることを信じています。皆さまの積極的なご参加とご協力をお願い申し上げます。